大阪高等裁判所 平成12年(ツ)32号 判決 2000年8月22日
上告人
工藤傳
右訴訟代理人弁護士
安若多加志
被上告人
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド
右代表者日本における代表者
イアン・ケー・マーシュ
右訴訟代理人弁護士
巻淵秀夫
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
一 上告人代理人安若多加志の上告理由第二について
契約に関する立証責任は、基本的には、契約条項の定めに従って定めるべきである。会員規約一三条二、三項は、第三者がカードを使用したとき、カード名義人が支払義務を負わない場合を例外として定めていることからすると、その例外が適用されるための要件、つまりカード使用が紛失又は盗難によるものであることは、カード名義人の立証責任に属すると解するべきである。
しかも、カード名義人はカードを所持していた者であるから、それが紛失又は盗難にあったことを立証しやすい立場にある。カード名義人は、カード不正使用の犯人を捜し出して、不正使用を自白させなければ、使用が紛失・盗難によることを立証できないというものではない。
原判決の立証責任に関する判断は正当である。原判決の判断に理由不備、理由齟齬は見いだせない。
二 上告人代理人安若多加志の上告理由第三について
原判決が、カードの使用が紛失又は盗難によるものとの立証がないとした判断に経験則違反、理由不備を見いだすことはできない。
三 よって、民訴法三一九条、六一条により主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官・井関正裕、裁判官・矢田廣髙、裁判官・牧賢二)
別紙上告理由書<省略>